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Monthly Column

ーようこそ、シネマテークたかさきへー

『ようこそ、革命シネマへ』 上映:6月27日(土)〜 7月10日(金)

2019年 フランス他 1時間37分監督:スハイブ・ガスメルバリ出演:イブラヒム・シャダッド/スレイマン・イブラヒム/エルタイブ・マフディ

コロナ禍による緊急事態宣言により、全国の映画館が臨時休館を余儀なくされた。大雪の日も台風の日も休まず上映してきたが、1ヵ月半にも及ぶ休館は当館にとってはもちろん、戦時中ですらなく、日本映画史上初のことだそうだ。 いつ再開できるのか…途方に暮れる中、いつでも再開できるように、スタッフ一丸となり大掃除や書類整理に勤しんだ。いつまでこの状況が続くかわからないので、入場料収入以外の収入源としてオンラインショップを開設し、上映作品の再調整、感染予防対策をふまえた新たな入場方法の導入など準備を進め、5月29日待ちに待った再開の日がやってきた。 シャッターを開け、お客様を迎え、客電を下げ、スクリーンに映画を投影する…。 今まであたりまえのように上映してきたことがあたりまえでなかった有難さを噛みしめた。

 

映画館再開へ向け奮闘している人たちが、アフリカ・スーダン共和国にもいた。 軍事政権下のスーダンでは、映画の制作や上映が禁止され、映画産業は崩壊。映画を再び母国に取り戻そうと動き出す4人の映画人たちに迫るドキュメンタリーだ。 彼らは数十年振りに再会し、オンボロ車を走らせながら村々を訪ね、巡回上映を続ける。そして、長年放置されていた映画館復活を目指すのだが…。 砂埃をかぶったスクリーンをみんなで掃除し、持ち主との交渉、協賛金や映写機の調達、準備に頑張りすぎて腰痛になる人も!どんな状況下でも上映することを諦めない彼らの姿に、

 

途方に暮れている場合ではないぞ!と、かの地から一喝された気分になった。想いを失わなければ、どんな方法だって上映はできるのだ。原点に戻る意味でも、再開を待っていてくれたみなさんと共に映画を観る喜びをわかち合うためにも、本作はどうしても上映したい!と思った。

「ここはみなさんの映画館。みなさんのために上映します。」 自作を上映禁止処分にされ、亡命を余儀なくされた1人の映画監督が、拡声器を片手に上映前の挨拶のリハーサルをする声が胸に響いた。

(小林栄子)

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