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Monthly Column

ー熱を以て描くー

『1987、ある闘いの真実』 上映:11月3日(土)〜 11月23日(金)

2017年 韓国 2時間9分監督:チャン・ジュナン出演:キム・ユンソク/ハ・ジョンウ/キム・テリ/ユ・ヘジン

韓国映画に魅せられる理由は、その熱量にある。
一体それはどこから来るのか。私はこの映画を観るまではっきりとしたものが掴めないでいた。
それは、抑圧された歴史、そしてそれに抵抗した人々の良心にあった。
26年間続いた軍事政権で人々は自由を奪われていた。80年の光州事件を描いた『タクシー運転手』にあった通り報道も規制され、人々はその時何が起こっていたのかを知らされていなかった。やがて事件の真実が少しずつ知られるようになると、それに対する怒りやもどかしさが爆発したのが1987年である。
そこには自分たちを抑え込もうとした国への抵抗運動を粘り強く続けていく学生や市民たちの姿がある。国家という絶対権力を相手に人々はなぜ最後まであきらめずに闘うことができたのか…。
本作は、さまざまな立場の人物たちを入れ替わり立ち替わり登場させる。それぞれが良心を守りながら行動を起こし、それが大きなうねりとなって歴史を動かしていく。何かを信じて闘う姿は猛烈に熱い。
1つ1つは小さいけれど、声を上げれば世の中は変わる。
転じて、映画で世界を変えられる。その気概が映画を熱くしているのだと感じ入った。
韓国現代史の闇を堂々とエンタテインメントへと昇華させてしまう力量にも唸らされる。
『タクシー運転手』をご覧になった方はもちろん、当時を知らずともぜひご覧いただき、その熱量を感じていただきたい。

 

(小林栄子)