写し出されるのは、ありふれた日常の、ありえない光景。人間が、ほとんど姿を見せないのだ。登場人物の濃厚な気配はするが、声だけが響く。恐ろしいほど美しい心象風景が、人を写す以上に人の孤独を、情感を浮き彫りにする。冬の淡くうつろう光を狙い、足掛け二年の歳月をかけて生み出された、奇蹟のような映像詩。
七里圭監督デビュー20周年×シネマテークたかさき開館20周年
特集上映 映画作家 七里圭
デビュー作『のんきな姉さん』から最新作『ピアニストを待ちながら』まで。主に自主製作で映画を作り、他ジャンルのアーティストとのコラボレーションなど実験性に富んだ作品を世に放つ七里圭監督の作家性に迫ります。