事故で記憶を失った医大生が現実と記憶、肉体と魂の狭間を彷徨う映像叙事詩。
交通事故からかろうじて一命を取り留めた青年、高木博史。だが彼は、一切の記憶を失っていた。父・隆二や母・慎子の顔さえわからない。しかしなぜか医学書にだけは興味を示し、やがて大学の医学部に入学する。2年生の必須科目である解剖実習が始まり、博史の班に若い女性の遺体が割りあてられた。その遺体の左腕に刺青がある。記憶の空白を埋めるかのように解剖にのめり込んでいく博史は、解剖を続けるにつれ、現実とは異なる世界へとフラッシュしていく。それは、左腕に刺青のある涼子という女性と一緒に過ごす、甘く切ない記憶を超えた世界だった。彼はもうひとつの世界で涼子と共に生きることを決めるが……。