映画界きっての異端児、ロバート・アルトマン。数々の国際映画祭を制覇し、ユニークな群像劇のスタイルを確立、ポール・トーマス・アンダーソンらのちの映像作家に多大な影響を与え続ける。一方で超大国アメリカや固定観念を徹底的にコケにし、度重なる興行的失敗もあってハリウッドを半ば追放され、天国と地獄を何度も味わった。そんな彼の手がけた、女性が主演の知られざるふたつの傑作と、今年公開から50周年を迎えた1970年代アメリカ映画を代表する名作を公開。一般常識や社会通念を軽やかに飛び越えるアルトマンの世界へようこそ。
Language:English
1969年 アメリカ他 1時間47分
出演:サンディ・デニス/マイケル・バーンズ/スザンヌ・ベントン/ルアナ・アンダース
ブルジョワの婦人が、自宅に隣接する公園のベンチでずぶ濡れになっている見知らぬ青年を招き入れて、風呂に入れ食事を与えたことがきっかけとなり、二人の奇妙な関係が始まる……のちの『イメージズ』『三人の女』と併せて、女性とパーソナリティ障害の関係を探求したスリラー/ホラー/幻想映画的三部作を構成する一編。
Language:English
1972年 イギリス他
1時間41分 出演:スザンナ・ヨーク/ルネ・オーベルジョノワ/マルセル・ボズフィ
ロンドン在住の女性児童文学作家が、ある晩正体不明の女からの不気味な電話を受けたのをきっかけに、幻聴や幻視に悩まされ始め、周囲の男性たちのアイデンティティが区別できなくなり、ついにはドッペルゲンガーと対峙するにいたる。オリジナル脚本はアルトマン自身と主演女優ヨークの共作。
Language:English
1973年 アメリカ 1時間52分
出演:エリオット・グールド/ニーナ・ヴァン・パラント/スターリング・ヘイドン/マーク・ライデル
レイモンド・チャンドラー小説の私立探偵マーロウを現代によみがえらせた、寓話的フィルム・ノワール。脚本はかつてマーロウもの『三つ数えろ』(監督:ハワード・ホークス/46年)を手がけた女性SF作家リー・ブラケット。「生命の尊さなど一顧だにされず、友情や義理のたぐいが無意味なものとなった自分本位の世の中でさまよう、道義をわきまえた寛大な男」(アルトマン)の物語である。