インフォメーション
2023年11月16日
2023.12/1(金)〜14(木)「BOMシリーズVol.16」アレクサンドル・ソクーロフ監督特集
2023年12月4日シネマテークたかさきは開館19周年を迎えます。
開館を記念して、初代総支配人・茂木正男が特集したかった監督の特集上映、称して「BOM」=Best of MogiMasaoシリーズを開催いたします。
本年は、ロシア映画界を代表するアレクサンドル・ソクーロフ監督の新作『独裁者たちのとき』、長・中・短編計16作品を35mmフィルム上映(※一部デジタル上映)いたします。ソ連時代の全作品は本国では公開禁止でした。映像と音、音楽、役者が一体となり、一幅の絵画を描くように構成される作風が特徴です。
■35mmフィルム上映
※『独裁者たちのとき』、『太陽 デジタルリマスター版』DCP上映、『マリア』DVD上映
■特別料金
当日一般1,400円、学生1,200円、シニア1,100円、高校生以下800円、しょうがい者割引1,000円、会員1,100円 ※各種ご招待券ご利用いただけます。
上映作品
『独裁者たちのとき』
12/1(金)~12/7(木)連日10:00より ※DCP上映
Skazka
2022年 ベルギー他 1時間18分
ダンテの「神曲」を彷彿とさせる冥界を舞台に、神の審判を受けるため20世紀の独裁者たちが天国の門を目指し彷徨う姿が、時には滑稽に、時には暴力的にそしてシュールに我々の生きる現代を貫き、未来を予言する。圧倒的な映像、震撼する音響とともに描いた、まったく新しい史劇。
『ヒトラーのためのソナタ』
12/1(金)12:10より※『ペテルブルクエレジー』と併映
Sonata for Hitler
1979年-1989年 ソ連 9分
ヒトラーとスターリンの生涯を、記録映像をもとに構成し、静謐さのなかにファシズムの恐怖を浮かび上がらせた映像詩。音楽はバッハの無伴奏フルートソナタ。ナレーションや台詞など説明的な要素は全て排した黒い画面に、ヒトラーとスターリン、第二次大戦をめぐる記録映像の数々が投影されていく。
『ペテルブルク・エレジー』
12/1(金)12:10より※『ヒトラーのためのソナタ』と併映
Peterburg Elegy
1989年 ソ連 40分
世界的バス歌手ヒョードル・シャリアピン(1873~1938)の家族を描く。
『孤独な声』
12/2(土)11:45より
Man’s Lonely Voice
1978年―1987年 ソ連 1時間26分
故郷の村に復員した赤軍兵士ニキータを迎えたのは、父と幼なじみの娘リューバだった。リューバと結婚したニキータは、精神的にしか愛せなかったため、家出をしたのだが、放浪した末、やはりリューバとの愛に生きることにするのだった。
『セカンド・サークル』
12/3(日)11:45より
Second Circle
1990年 ロシア 1時間33分
父親の死で帰省した息子。入れ替わり立ち替わり訪れる役人や医者は一様に機械的で融通がきかない。監督は完成当時、「この映画は今のソ連(崩壊直前)を象徴する」と。
『ストーン~クリミアの亡霊』
12/4(月)11:45より
Stone
1992年 ロシア 1時間28分
夜、誰もいないはずのチェーホフ館に人影が…。番人の青年が覗くとチェーホフが服を着たまま水を浴びている!甦ったチェーホフとこの青年との交流がモノクロの映像と神秘的な音響で幻想的に描かれる。
『ロシアン・エレジー』
12/5(火)11:45より
Elegy from Russia
1993年 ロシア 1時間09分
暗闇の中から喘ぎ声が聞こえてくる。瀕死の床にいる病人のようだ。その手を包み込む看護人。ロシアの森林風景や旧い写真などが画面に映し出されていく。監督は本作についてロシア的スケールの作品だと語っている。
『静かなる一頁』
12/6(水)11:45より
Whispering Page
1993年 ロシア他 1時間17分
SF的ともいえる要素を加えてロシア文学の傑作「罪と罰」を大胆に解釈!
『マザー、サン』
12/7(木)11:45より
Mother, Son
1997年 ロシア他 1時間13分
重い病にかかっていた母は、人里離れた海辺の森に息子と暮らしていた。生涯を語る母の手を息子は包む。海からの爽やかな風。窓外に咲く小さな白い花。丘の上を蛇行する道。さいはての草原に煙をなびかせて走る列車。蒼い海に漂う白い帆船。母は死に、だが、木々は変わることなく息づいていく。
『モレク神』
12/8(金)16:00より
Molekh
1999年 ロシア他 1時間48分
ベルヒテスガルテンの山荘でのヒトラーと愛人エヴァ、側近たち…。モレク神とは、子どもを人身御供にさせた古代セム族の信仰に由来する神の名で、旧約聖書では悲惨な災いや戦火の象徴である。
『太陽 デジタル・リマスター版』
12/10(日)16:00より※『マリア』と併映 ※DCP上映
The Sun
2005年 ロシア他 1時間50分 出演:イッセー尾形/佐野史郎/桃井かおり
昭和天皇が、第二次世界大戦の敗戦直前の御前会議から、占領軍の総司令官マッカーサーと会見し、人間宣言を決断するまでを描く。
『マリア』
12/10(日)16:00より ※『太陽』と併映 ※DVD上映
Maria
1978年 ロシア 38分
ソクーロフ監督は一人のロシア農民マリアを1975年に撮影。9年後、撮影したフィルムを持って村を再訪したソクーロフ監督を待っていたのは、予想もしない出来事だった。後に数多くの傑作を生み出すソクーロフ監督の才能の片鱗がうかがえる作品。
『日々はしづかに発酵し…』
12/11(月)16:00より
The Days of Eclipse
1988年 ソ連 2時間18分
中央アジアの荒涼としたウラン採掘坑跡地を舞台に、ロシアと中央アジアの青年の交流を軸に、スターリンの強制移住に端を発した民族問題、イスラム教とキリスト教古儀式派との関係、核開発による自然破壊など、複雑なロシア現代史が隠喩のように込められている傑作!
『ファザー、サン』
12/12(火)16:00より
Father, Son
2003年 ドイツ他 1時間24分
静かな町に暮す父と息子は互いを大切にしながら暮らしていた。軍を退職した父は職さがしに、軍人養成学校に通っていた息子の自立の時期がやってくる~。キャストはいずれも素人。絵画のように美しい映像と繊細な音楽が印象に残る父子愛の物語。
『牡牛座~レーニンの肖像』
12/13(水)16:00より
Taurus
2001年 ロシア 1時間34分
1922年のとある夏の日、モスクワの南東35キロに位置するゴールキ村でレーニンが療養していた。彼は右半身が麻痺し、入浴も着替えも1人ではままならない。かつての面影はなくなっていた。
『チェチェンへ アレクサンドラの旅』
12/14(木)16:00より
Aleksandra
2007年 ロシア他 1時間32分
チェチェンのロシア軍基地で、軍務に従事する孫のデニスのもとに会いにゆく祖母のアレクサンドラが見たものとは。 実際のロシア軍駐屯地で全編を撮影。現実の政治状況を生々しく切りとった緊迫の映像も注目に値する。
「映画のある風景」2022 著:志尾睦子 発行:SDI総研より一部抜粋
ロシアの巨匠アレクサンドル・ソクーロフ。この世界的映画監督も実は高崎を訪れた事がある。 1995年第9回の映画祭で、特集という訳でもなく洋画セレクションの1本としてプログラムされたソクーロフの処女作『マリア』の上映のために来日し、約一週間を高崎で過ごしたという。当時ソクーロフ監督は44歳。20代からその才能を発揮して来たものの、激動のソビエト、映画は検閲にかかり公開禁止処分を受けた。そのためにソクーロフの作品が世に出回り始めたのはペレストロイカ以後の事だった。 瞬く間に世界にその名を知らしめる存在となった訳だが、世界に発信し始めた頃にいち早くその作家性に注目し、高崎まで呼んでしまった茂木正男前代表たちの心意気は、やはり並大抵のものではないなと思える。世界に誇る偉大な映画作家は、それ以降もコンスタントに映画製作を続け、今や世界的な巨匠だ。 当時、ソクーロフ監督が高崎滞在中にリクエストしたのが、「旧軍人に会いたい」「建築現場が観たい」「盆栽の事を知りたい」「神社と大木がみたい」だったそうで、前代表らは市内はもちろんの事、沼田や赤城まで車をとばし県内あちこちを案内して回ったという。のちにソクーロフ監督は昭和天皇に焦点をあてた『太陽』を2005年に発表したが、この作品を観て、前代表は群馬で過ごしたあの一週間がすでに『太陽』の準備期間だったと気がついたという。