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2019年11月16日

12/7(土)〜12/13(金) 開館15周年記念 BOMシリーズ Vol.12 「ふたりのアラン」

12/7(土)〜12/13(金) シネマテークたかさき開館15周年記念として、
BOMシリーズ Vol.12 「ふたりのアラン」の特集上映を行います。

『夜と霧』『二十四時間の情事』など革新的な作品で<ヌーヴェル・ヴァーグ(新しい波)>を牽引したアラン・レネ。
一方、戦後世界文学に革命的な地殻変動をもたらした<ヌーヴォー・ロマン(新しい文学)>の旗手アラン・ロブ=グリエ。
<映画>と<文学>、それぞれの最前線から世界のカルチャーを先導/扇動していた“ふたりのアラン“。1961年、奇しくも同じ38歳、同じ名を持つ彼らの人生は運命的なタイミングで交錯、「全てにおいて意気投合した」ふたりのイメージは複雑精緻に折り重なりあい、映画史に燦然と輝く奇跡的な傑作『去年マリエンバートで』が誕生しました。
“その後”、ロブ=グリエは自ら監督に乗り出し、エロスとフェティッシュとユーモアを全開させた、世にも独創的なキッチュな世界を縦横無尽に展開することになります。
“ふたりのアラン”が創造した唯一無二の<世界>を一挙に体感できるまたとない機会。映画が持つ、限りない自由をご堪能ください。

 

 

『去年マリエンバートで 4Kデジタル・リマスター版』

1961年 イタリア他 1時間35分
脚本:アラン・ロブ=グリエ
出演:デルフィーヌ・セイリグ/ジョルジョ・アルベルタッツィ

映画史を一変させた、真の革命。永遠の神秘。

ブルジョワジーたちが、演劇鑑賞やダンス、ゲームに無表情で耽る豪華ホテルに、ひとりの男がやってくる。去年、ここで出会い、1年後に駆け落ちする約束をした女を連れ出すために。しかし、再会した女は、まったく覚えていないと言い張る。だが男には確信がある。彼女は、忘れてしまったのか?ただ知らないふりをしているだけなのか?それとも…?

 

『不滅の女』

1963年 フランス他 1時間41分
出演:フランソワーズ・ブリオン/ジャック・ドニオル= ヴァルクローズ/カトリーヌ・ロブ=グリエ

異国でのアバンチュールの行方異国でのアバンチュールの行方

イスタンブールで休暇を過ごし始めた教師の男は、陽気だがどこか謎めいた若い女と出会う。女との邂逅を重ねるうち、男は彼女の不可解さにみずからの妄執をかき立てられ…従来の「劇映画」の概念を大きく逸脱した過激な語り口が世の驚愕と憤怒を同時に招来した、いまだ「新しさ」に満ちたロブ=グリエの記念すべき監督デビュー作。

 

『ヨーロッパ横断特急』

1966年 フランス他 1時間35分
出演:ジャン=ルイ・トランティニャン/マリー= フランス・ピジェ/クリスチャン・バルビエール

麻薬の運び屋の珍道中

パリからアントワープへと麻薬を運ぶ男の波乱万丈な道中を、幾重にも織重なったメタフィクションで構築し“ヨーロピアン・アバンギャルドの最重要作品”、“最も成功した、理解しやすい実験映画”と絶賛された2作目。ロブ=グリエ自身は“ポルノ映画”とうそぶく、スリラー映画の枠組みを借りてシリアスとコミカル、嘘と真実、合理と非合理の境界を軽やかに行き来する快作。

 

『嘘をつく男』

1968年 フランス他 1時間35分
出演:ジャン=ルイ・トランティニャン

レジスタンスの英雄をめぐる奇譚

舞台は、第二次大戦末期のスロバキア共和国。小さな村に、突如現れた異邦人。レジスタンスの英雄ジャンの同志だと名乗る男は、彼の妻や妹を誘惑し始める…。ボルヘスの短編「裏切り者と英雄のテーマ」(『伝奇集』)を下敷きに、ロブ=グリエが敬愛するルイジ・ピランデッロへのオマージュも込めつつ、現実と虚構のデッドゾーンへと観るものすべてを誘う。

 

『エデン、その後』

1970年 フランス他 1時間38分
出演:カトリーヌ・ジュールダン/ピエール・ジメール/リシャール・ルドウィック

エロスの果てへの旅

「カフェ・エデン」にたむろして退廃的な遊戯や儀式に興ずるパリの大学生の一団。彼らの前に突如姿をあらわした謎の男が差し出す麻薬らしき粉末を摂取した若い娘ヴィオレットは、死や性愛をめぐるさまざまな幻覚に襲われる…。“『不思議の国のアリス』と『O嬢の物語』の恐るべき邂逅”とも評された、蠱惑的な色彩設計やSM行為、チュニジア・ロケ等鮮やかな画面に目を奪われるロブ=グリエ初のカラー作品。

 

『快楽の漸進的横滑り』

1974年 フランス 1時間46分
出演:アニセ―・アルヴィナ/ジャン=ルイ・トランティニヤン/ マイケル・ロンズデール/イザベル・ユペール

現代の魔女あるいは前衛芸術家の運命

ルームメイト殺しの容疑で逮捕された若く美しい女・アリス。被害者は、ベッドに拘束され心臓はハサミで突き刺されている。体には書きかけの聖女の殉教の絵…。本作について、「この女性は来るべき革命の希望を体現しているのだ」とロブ=グリエ自身は語る。しかし公衆道徳に反するともみなしうる先進的表現が物議をかもし、各国で上映禁止、フィルムが焼かれる事件まで発生した。

 

『囚われの美女』

1983年 フランス 1時間25分
出演:ダニエル・メグイシュ/ガブリエル・ラズール/ シリエル・クレール/ダニエル・エミリフォーク

マグリットを生成源とした異様な幻想譚

デューク・エリントンのジャズ・ナンバーが流れるナイト・クラブ。なまめかしく踊るブロンドの美女を、黒いス―ツを身にまとった男が見つめている。男の名は、ヴァルテル。謎の地下組織で情報の運び屋をしている。シュルレアリスム画家ルネ・マグリットの同名作品を含む多数の絵画をモチーフに、幻想とめくるめく官能が交錯するロブ=グリエ日本で唯一の劇場公開作。

 

 

 

【12/8(日)14時10分より トークイベント開催】 《登壇ゲスト》廣瀬純さん(映画評論家)

廣瀬純(映画評論家) 1971年東京生まれ。映画批評、哲学。龍谷大学経営学部教授。著書に『シネマの大義』(フィルムアート社、2017年)、『三つの革命 ドゥルーズ=ガタリの政治哲学』(佐藤嘉幸との共著、2017、講談社メチエ選書)、『蜂起とともに愛がはじまる』(2012、河出書房新社)、『美味しい料理の哲学』(2005、河出書房新社)など多数。

 

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