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Monthly Column

ーColumnー

『ビリーブ 未来への大逆転』 上映:6月1日(土)〜 6月14日(金)

2018年 アメリカ 2時間監督:ミミ・レダー出演:フェリシティ・ジョーンズ/アーミー・ハマー/キャシー・ベイツ

『RBG 最強の85才』 上映:6月22日(土)〜 7月5日(金)

2018年 アメリカ 1時間38分監督:ジュリー・コーエン/ベッツィ・ウェスト出演:ルース・ベイダー・ギンズバーグ/ビル・クリントン/バラク・オバマ

“RBG”とは、一体何の略語だろう。映画を観るまで知らなかった。こんなにも仕事だけでなく女性、妻、母として懸命に生きてきた女性のことを。
今月は、RBGこと、ルース・ベイダー・ギンズバーグを主人公とした映画が2本公開となる。今年3月に86歳を迎えた、70年代からすべての人々の法の下の平等を実現するため、日々闘い続けている米国最高裁判事である。
1956年、彼女がハーバード大学法科大学院に入学した頃には、男女差別が公然と存在しており、学部長から「男子の席を奪ってまで入学した理由は?」と問われるほど門戸が開かれていなかった。劇映画『ビリーブ~』では、ハーバード入学から100%負けると言われていた男女平等裁判に果敢に挑むまでの若き日に絞って描かれ、ドキュメンタリー『RBG~』では、幼少期から現在までの彼女の闘いと素顔にまで迫る。社会を変えた判事と聞くと、さぞかし近寄りがたく、威勢の良い人物を想像してしまうが、本人はいたっておしとやかで自己主張せず控えめで驚く。だが、その内面には信念を貫く強さがある。それは、17歳の時に他界した母からのある教えをモットーにしているからだということが見えてくる。1993年、最高裁判事に任命された後も変わらぬ視点であらゆる平等の実現に向けてどこまでも強気で切り込んでいく。その信念は、ファッションにまで及び、男性用に作られていた法服におしゃれな襟をつけた。様々なデザインの中から、述べる意見の内容によって選んでいるそうだ。
なぜ、彼女はブレずに闘い続けられるのか…?
それは彼女の信念だけではなく、彼女を理解する存在がいたからということが、2作品を通して見えてくる。そこには子育てに当たり前に参加する夫の姿がある。劇映画の中で誇張されているのかと思いきや、ドキュメンタリーを観るとその献身さは顕在であり、それは2人の間に平等に存在していた。最強の女性の人生の物語でもあり最強のラブストーリーでもある。

(小林栄子)

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