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Monthly Column

ー観たくなる映画ー

『恐怖の報酬【オリジナル完全版】』 上映:1月5日(土)〜 1月25日(金)

1977年 アメリカ 2時間1分監督:ウィリアム・フリードキン出演:ロイ・シャイダー/ブルーノ・クレメル/フランシスコ・ラバル

映画を観るきっかけとなるひとつにチラシがある。
次は何を観ようか・・・映画館のロビーでチラシの棚に目をやると、それらは、時にビジュアルで、時にインパクトのある文字で訴えかけてくる。
数ある作品の中から、目に飛び込んでくるように、手にとってもらえるように映画の宣伝担当の方々の創意工夫が集結されている。
最近では、情報を入れずに、インパクトを前面に押し出していく、ティーザー版。情報を小出しにして公開までに何パターンか作っていく宣伝費の潤沢なものもある。
近年増えているのが、コメントチラシだ。各界の著名人から寄せられた100字以内のコメントが紙面いっぱいにひろがっている。
先日、とても興味をそそられるコメントチラシがあった。それは誰かのコメントに対してではなく、裏面に掲載されている新聞広告の引用の方だった。
隅から隅まで映画のイメージが一気に湧き上がってくるキャッチコピーで埋め尽くされている。これで映画のすべてを説明しきってしまっているほどの情報量なのだ。その作品は『恐怖の報酬【オリジナル完全版】』。チラシには「ミンチのごとく切り刻まれた短縮版」と記されている。一体どういうことか・・・。諸事情で北米以外での公開時、監督に無断で30分近くがカットされて上映されたそうなのだ。自身の最高傑作を踏みにじられてしまった監督は、2013年に自らオリジナル版のデジタル化に着手。40年の時を経て本来の姿で、“初”公開に至った。その経緯も尋常ではないが、肝心の本編はさらに常軌を逸していた。「究極のアナログ撮影!」CGなしと思うとリアリティが増してくる映像の数々。「製作費100億円」「製作期間2年」「3大陸5か国での撮影」とは、現代ではありえない、不可能な映画製作スタイルである。これをお金と時間と体を張ってよくぞ作ってくれた!まさに「全身全霊を込めて放った超重量サスペンス巨編」である。
何がどうすごいのか?「観なければ、このたいへんさはわかりません!」

(小林栄子)