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Monthly Column

ーカテゴリーを超越した輝きー

『モーリス 4K』 上映:7月21日(土)〜 8月3日(金)

1987年 イギリス 2時間21分R15監督:ジェームズ・アイヴォリー出演:ジェームズ・ウィルビー/ヒュー・グラント/ルパート・グレイヴス

『君の名前で僕を呼んで』 上映:7月21日(土)〜8月3日(金)

2017年 イタリア他 2時間12分 監督:ルカ・グァダニーノ 出演:ティモシー・シャラメ/アーミー・ハマー

『彼の見つめる先に』(ブラジル)、『ナチュラルウーマン』(チリ)、『BPM』(フランス)…。
今年は、LGBTをテーマとした作品が続いている。LGBTは、セクシャルマイノリティの総称であるが、近年、これに分類されることに違和感を持つ人たち、つまり、「自分がこのどれにも当てはまらない。または、わからない。」Questioning(クエスチョニング)の「Q」が加わり、LGBTQと称するようになってきている。人の性のあり方は実に様々。映画を通してそう感じる。分類すること自体がもう無意味なのかもしれない。
『君の名前で僕を呼んで』は、17歳の少年エリオと24歳の青年オリヴァーのボーイミーツボーイの物語であるが、LGBTのジャンル映画と呼ぶには違和感がある。それは1つの側面ではあるが、物語のテーマではないからだ。
『モーリス』の舞台は20世紀初頭の英国。同性愛が犯罪とされていた時代であるから、不寛容な社会と恋に落ちる2人の男性の葛藤が表現されている。
対する『君の名前で僕を呼んで』の舞台は1983年。時代だけ見れば、現在よりは同性愛に対する偏見は強かっただろう。だが、ここに葛藤はない。男同士の恋を特別なものとして描いていないのだ。エリオの前に現れたオリヴァーは、少々目障りな存在だったが、いつの間にか気になり始め、目が離せなくなる。時に近づいたり、離れたり、やり場のない想いを、無理矢理言葉にしようとメモを書きなぐる姿がいじらしい。
そこにあるのは、17歳の少年が初めて恋する喜びと痛みである。その感情に男女の区別はないのだから。

 

(小林栄子)